迦陵頻伽図像の生成と展開論文|70ページ(41,319字)
本研究では、仏教美術における迦陵頻伽図像の展開を考察した。尾羽表現を基準に五類型を設定し、着衣・鳥身構成・姿勢などの要素とあわせて図像の編年的展開を整理した上で、性格の変遷を検討した。さらに、文献資料および図像配置の再検討を通じて共命鳥との関係に注目し、人面鳥身像の成立過程について新たな仮説を提示した。以上の考察を通じて、迦陵頻伽の図像は経典記述の忠実な視覚化ではなく、図像とテキストの相互作用の中で形成されたという結論を導いた。 リンソウエイ
本論文は仏教世界で美しい声で鳴くとされる鳥、迦陵頻伽を取上げ、その図像の成立事情および展開の様相について論じたものである。迦陵頻伽は初唐期の浄土変相図に登場し、以後長く絵画、工芸、建築装飾におけるモチーフとして用いられ続ける。その姿は人頭鳥身に表されるのが特徴だが、経典にこうした姿が説かれているわけではない。本論文はその図像形成について、インド発祥でふたつの人面をもつ鳥、共命鳥が先行して存在し、これと対になるものとして浄土変相図に表されるにあたり人頭鳥身の姿が成立したと考えた。また尾羽を主要な指標として姿を五類型に分類したうえ図像展開を跡づけた。さらに八世紀半ば以降に顕著となる鳳凰図像への接近に着目し、迦陵頻伽が鳳凰に類する他界との交渉役としての性格を付与されたことを示すものと解釈した。 作品を綿密に観察することから出発し、迦陵頻伽図像の成立と展開に関わるさまざまな問題を引出して公平な態度で考察を行ったもので、貴重な基礎研究として評価される。 美学美術史研究室教授 奥健夫
作者より
本研究では、仏教美術における迦陵頻伽図像の展開を考察した。尾羽表現を基準に五類型を設定し、着衣・鳥身構成・姿勢などの要素とあわせて図像の編年的展開を整理した上で、性格の変遷を検討した。さらに、文献資料および図像配置の再検討を通じて共命鳥との関係に注目し、人面鳥身像の成立過程について新たな仮説を提示した。以上の考察を通じて、迦陵頻伽の図像は経典記述の忠実な視覚化ではなく、図像とテキストの相互作用の中で形成されたという結論を導いた。
リンソウエイ
担当教員より
本論文は仏教世界で美しい声で鳴くとされる鳥、迦陵頻伽を取上げ、その図像の成立事情および展開の様相について論じたものである。迦陵頻伽は初唐期の浄土変相図に登場し、以後長く絵画、工芸、建築装飾におけるモチーフとして用いられ続ける。その姿は人頭鳥身に表されるのが特徴だが、経典にこうした姿が説かれているわけではない。本論文はその図像形成について、インド発祥でふたつの人面をもつ鳥、共命鳥が先行して存在し、これと対になるものとして浄土変相図に表されるにあたり人頭鳥身の姿が成立したと考えた。また尾羽を主要な指標として姿を五類型に分類したうえ図像展開を跡づけた。さらに八世紀半ば以降に顕著となる鳳凰図像への接近に着目し、迦陵頻伽が鳳凰に類する他界との交渉役としての性格を付与されたことを示すものと解釈した。
作品を綿密に観察することから出発し、迦陵頻伽図像の成立と展開に関わるさまざまな問題を引出して公平な態度で考察を行ったもので、貴重な基礎研究として評価される。
美学美術史研究室教授 奥健夫