石原史奈

ISHIHARA Fumina

岡本太郎の作品表現にみる思想的・社会的背景の一考察―「夜の会」から《明日の神話》に至る芸術・政治・労働の観点から―
A Study of the Intellectual and Social Backgrounds in Taro Okamoto’s Artistic E×pression
―From the ‘Yoru-no kai (the Night Society)’ to ‘Myth of Tomorrow’: Perspectives on Art, Politics, and Labor―

論文|142ページ(51,185字)

作者より

本研究は、芸術家・岡本太郎(1911–1996)の政治的・社会的な動向が反映された5点の絵画を対象とし、その制作過程に描かれたデッサンの表象分析を通して、作品に認められる表現上の傾向を明らかにしたものである。さらに、分析結果を踏まえ、社会情勢と密接に関わる岡本の多面的な活動、ならびにパブロ・ピカソ(Pablo Picasso、1881–1973)をはじめとする他の芸術家から受けた影響との関係性について考察した。

石原史奈

担当教員より

岡本太郎研究が抱えてきた言説に基づく思想論が主流で未だ作品論が不十分という課題に対し、本研究は下絵やデッサンの緻密な分析を中心に、フロイトの理論やピカソ《ゲルニカ》からの影響と、1930年代パリと1950年代日本の社会情勢との接続を加えて論証した。以上により、岡本の対極主義や芸術の社会化が政治的意識の反映であることを示し、創造性と社会的主題が両立した理由を解明した。近代日本美術史研究と芸術文化社会論の双方に寄与する優れた成果となった。

芸術文化学科教授 春原史寛